2012年5月3日木曜日

『AKB0048』第1話「消せない夢」

うわ、なにこの美術の情報量の高さ!
細やかな光の使い方も上手いけど、背景で「荒廃してるけど、人の生が根付いている未来社会」をしっかり描いてみせてる。すごい。

ただ、キャラがふわっふわなので、えらく浮いて見える。特に鍵になるのは頭と瞳のハートマークで、言い換えると、あのハートマークは「聖痕」として機能してる。彼女たちがアイドル(=AKB)となるべく運命付けられている存在だ、とデザインの時点で告げてる、っていう。

それは、彼女たちがこの「荒廃した未来社会」において「特別な存在であること」を端的に示してるわけなのだけれど、困ったことに第1話は、そんな彼女たちが「AKBのオーディションに合格するかどうかわからない」ことが、メインの主眼に据えられてる。
でも、こういうデザインを施されている時点で、オーディションに無事、合格することはほとんど確定しているわけで(ここで裏切られたら、そもそもあのデザインは何だったの? って話になる)、オーディションへの不安は作劇の前提として成立してなくね? って気がする。
ハリソン・フォードは死なない問題、ですね。

まあ、デザインと脚本は別々に進行してることが多いので、 こういう事態を招いてるのかなあという気もするんですが。

あ、あとほぼ同じ座組みで進行している『アクエリオンEVOL』も、似たような(リアリティのある美術で、近未来の社会を描く)志向性の作品なんだけど、美術の肌触りがなんか違う。それぞれ美術を担当しているスタジオが、『AKB0048』はスタジオイースター、『アクエリオン』が美峰という違いはあるんだけど、たぶんそこじゃなくて、美術が描こうとしている「対象」が違うから……だろうか?
『AKB0048』においては、「社会の暗さ(と、そこから飛び立とうとする少女たちの明るさ)」が、そのままコントラストの強い背景に反映している、というか。まあ、『AKB』の美術は、暗いというより「濁っている」という感じなのだけれど。
脚本/岡田麿里、絵コンテ/河森正治・平池芳正、演出/高島大輔、作画監督/山田裕子・長坂寛治。

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